NISAとは?制度の仕組み、メリット・デメリットを詳しく解説

「最近話題になっているNISAってなに?」

「NISAに興味があるけど、投資は不安だな。」

最近、メディアでも頻繁に取り上げられているNISA。興味はあるけれど、仕組みがよくわからないという人は多いでしょう。また、お金は増やしたいけれど「投資」は不安と感じる人もいるはずです。

そこで、NISAの基本的な仕組みや、利用することで得られるメリットとデメリット、NISAの始め方について解説します。

この記事を読むことで、NISA制度についての知識を深めることができます。また、NISAを利用した投資の具体例も紹介するので、実際に投資を始めた際のイメージがつかめるでしょう。

目次

NISAとは?基本的な仕組みを理解しよう

NISA(少額投資非課税制度)の正式名称は「Nippon Individual Savings Account」で、少額の投資で得た利益が非課税になる点が最大の特徴です。

本来、投資により得た利益には税金が課せられます。しかし、NISA口座で投資をした場合、利益に対して税金がかかりません。税制面で非常に優遇されている制度です。

2024年から「新NISA制度」がスタートし、税制優遇の金額が拡大されました。これが世間で話題になっている一因です。

NISAの目的

NISAは、日本国民の投資促進を目的としています。今まで投資を行っていなかった人が投資を始めると、金融商品の取引が活発になり、経済全体が活性化する可能性が高まります。

また、NISAは長期的な資産形成の支援も目的の一つです。特に、老後資金や教育費など、長期的な目標に向けて資産を形成するために有効です。

目的を達成するために、NISAは投資で得た利益を非課税にし、投資を始める際のハードルを下げています。

NISAの種類

NISAは2024年から新制度となり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの投資枠が設けられました。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

つみたて投資枠成長投資枠
1年で投資できる金額120万円240万円
非課税で運用できる期間無期限無期限
同時に保有できる最大金額1,800万円(成長投資枠の1,200万円を含む)1,200万円
投資できる金融商品金融庁が厳選した投資信託・ETF上場株式、投資信託、ETFなど
対象年齢18歳以上18歳以上

つみたて投資枠は、金融庁が厳選した金融商品にコツコツ投資し、長期的に運用することを目指します。金融庁が厳選した金融商品には、過度にリスクが高かったり、手数料が高かったりするものは含まれません。

成長投資枠は、つみたて投資枠の対象金融商品に加え、株式や投資信託などほとんどの金融商品に投資が可能です。投資信託による長期投資だけでなく、配当金目的の個別株投資なども行うことができます。

どちらの枠も併用して運用することができ、成長投資枠でつみたて投資を行うことも可能です。

つみたて投資枠と成長投資枠の特徴を把握しておくことで、自分に合った投資方法を選ぶことができます。

NISAのメリット

NISA制度は投資を始めてみようと思っている人にとってメリットが多い制度です。

主なメリットは次のとおりです。

  • 税制優遇措置が受けられる
  • 少額で始めることができるため初心者に向いている
  • 積立投資によるリスク分散が初心者に向いている
  • 長期投資による複利効果が期待できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

税制優遇措置が受けられる

NISAの最も大きなメリットは、税制優遇措置が受けられることです。

通常、株式や投資信託といった金融商品の売却益や配当金には、約20%の税金が課せられます。しかし、NISA口座からの投資では約20%の税率が免除されるのです。

例えば、100万円で購入した株式を200万円で売却すると、100万円の売却益が発生します。通常はここから約20万円の税金が引かれ、手元に残る利益は約80万円になります。

NISA口座からの投資では、この約20万円の税金がかからず、手元に100万円の利益が丸ごと残るのです。

利益に対して税金がかからない税制優遇措置は、NISAの最も大きなメリットです。

少額で始められるため初心者に向いている

NISAは、少額から投資を始められるため、初心者に向いています。

通常、株式や投資信託にはまとまったお金が必要です。

しかしNISAの場合、金融機関によっては100円から始めることができます。投資に対して不安が大きい場合でも、少額からなら始めやすいでしょう。

投資経験の少ない初心者にとって、少額で投資を始められることはNISAのメリットです。

積立投資によるリスク分散が初心者に向いている

NISAでは、積立投資によるリスク分散ができることも初心者に向いています。

市場は常に変動します。しかし、初心者には市場の見極めが難しく、適切な投資のタイミングがわからないでしょう。このような場合は積立投資が有効です。

積立投資では、市場の値動きに関係なく一定額を定期的に投資する手法である「ドルコスト平均法」を用います。

例えば毎月1万円を株式に投資する場合、株価が高いときは少なく、安いときは多くの株数を購入します。株価に左右されずに1万円を投資することで、市場の変動に左右されにくくなるのです。

長期の積立投資では、ドルコスト平均法により株価が高いときだけ購入することはありません。購入する株数が平均的となり、結果としてリスク分散が可能です。

ドルコスト平均法を用いた積立投資でリスク分散ができることも、NISAが初心者に向いている一つのメリットです。

長期投資による複利効果が期待できる

NISAでは、長期投資による複利効果が期待できます。

複利効果とは、投資の運用で得た利益を再投資することで、利息が利息を生み資産が大きくなる効果です。

この図は単利と複利の差を表したものです。単利は元本のみに対しての利息がつくのに対して、複利は元本と利息の合計に利息がつきます。

例えば年間10万円、利息が10%で20年積み立てたとします。単利の場合毎年増えるのは1万円ですが、複利の場合利息が元本に足されるので、20年後には約37万円も資産が増えるのです。これが複利効果です。

複利効果は時間が経つほど大きく、初期投資額を大きく超える資産を形成できる可能性があります。

長期投資による複利効果で得た利益もNISAでは非課税です。複利効果を期待して長期的な資産形成を目指すことができます。

NISAのデメリット

NISAにはデメリットも存在します。

主なデメリットは次のとおりです。

  • 資産が減る可能性がある
  • 短期投資だと複利効果が期待できない
  • 短期投資は市場の見極めが難しく初心者に向かない

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

資産が減る可能性がある

NISAのデメリットは、投資によって資産が減る可能性があることです。

投資にはリスクが伴い、市場の動向次第では保有している金融商品の価値が下がることがあります。その結果、資産が減少する可能性があります。

リーマンショックやコロナショックのような大規模な経済危機が発生すると、短期間で大幅に資産の価値が下がることもあるでしょう。

NISAを利用する際は、資産が減る可能性が有ることを理解し、投資を行うことが重要です。

短期投資だと複利効果が期待できない

NISAのデメリットとして、短期投資だと複利効果が期待できないことがあります。

複利効果は運用期間が長くなるほど大きくなるため、短期投資ではその効果が小さくなります。

NISA口座で運用した期間が1年や2年といった短期間であった場合、利益を再投資する機会が少なく、複利効果が十分に発揮されません。また、保有資産を売却しても売却益が少なく、NISAの税制優遇措置のメリットを十分に受けることができません。

NISAを利用する際は、短期ではなく長期的に投資を行うことを検討しましょう。

短期投資は市場の見極めが難しく初心者に向かない

NISAのデメリットとして、短期投資は市場の見極めが難しく、初心者に向かないことがあります。

NISA口座では、金融商品の短期投資も可能です。しかし、短期投資は初心者には向かない可能性が高いです。

専門知識を持ったプロの投資家でさえ市場の予測は難しく、投資経験が少ない初心者だと間違った判断をしてしまうかもしれません。一時的な市場の下落で慌てて売却すると、大きな損失を被り、元本割れを起こす可能性もあります。

市場の変動に左右されないためにも、NISAを利用する際は、コツコツ運用する長期投資を検討しましょう。

NISAの始め方

NISAに興味があっても、どのように始めればよいかわからないかもしれません。

次に、NISA口座の始め方を解説します。

NISA口座を開設する機関を決める

NISA口座を開設する際、一番はじめに行うことは金融機関の選択です。

NISA口座は、銀行、証券会社、信託銀行などで開設することができます。

開設の際は、オンラインで口座開設の申込みだったり、金融期間の窓口で申し込みをしたりすることができます。

手数料やサービス内容を比較し、自分に合った金融機関を選びましょう。

NISA口座を開設の際に必要な書類を揃える

NISA口座を開設する際は、必要な書類があります。

必要書類は次の2点です。

  1. マイナンバー関連書類(以下のいずれか)
    • マイナンバーカード
    • マイナンバーが記載された住民票の写し
    • マイナンバー通知カード+本人確認書類
  2. 本人確認書類(以下のいずれか)
    • マイナンバーカード
    • 運転免許証
    • 日本国パスポート
    • 健康保険証
    • 住民基本台帳カード
    • 住民票の写し
    • 印鑑証明書
    • 各種年金手帳

金融機関によっては印鑑が必要な場合もあります。

必要な書類を確認してから、NISA口座を開設しましょう。

NISA口座で投資商品を決める

NISA口座を開設したら、次は投資する金融商品を決めましょう。つみたて投資枠での投資を考えてみます。

つみたて投資枠を利用する場合、金融庁から厳選された投資信託・ETFを購入できます。約290銘柄あり、その中でも人気が高い銘柄はインデックスやバランス型の投資信託です。

人気の銘柄には次のような商品があります。

  • インデックスファンド(株価指数に連動)
    • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    • 楽天・S&P500インデックス・ファンド
    • eMAXIS Slim 日本株式(TOPIX)
  • バランス型ファンド(株式・債券・REITなど)
    • eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
    • 野村6資産均等バランス
    • ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

これらの商品は、低コストで分散投資できる点や、長期投資に適している点から、つみたて投資枠の利用者から選ばれています。

ただ、実際投資する金融商品を決める際は最新情報を確認し、十分検討してから購入するようにしましょう。

NISA口座で積立の設定を行う

購入する金融商品を決めたら、NISA口座で積立の設定を行いましょう。

積立の設定をする際は、積立金額、積立頻度、積立開始日、引き落とし方法を決めます。

例えば、毎月5万円ずつ、選んだ投資信託を毎月1日に買付するように設定します。引き落とし方法はクレジットカードに設定しました。これにより、毎月自動的にカードの引き落としで積立投資を行うことができます。

積立設定は、口座を開設した金融機関のウェブサイトや窓口で簡単に行えます。自分に合った積立設定を行いましょう。

NISAで運用したときの具体例

NISAで運用した場合、その具体例がわかるとイメージができるでしょう。

次にNISAで運用したときの、資産が増えた例と減った例を取り上げます。

NISAで資産が増えた例

例:毎月5万円の投資で10年運用した場合

運用利回りが年5%と仮定すると、10年後に776万円(元本600万円+利益176万円)になると試算できます。

複利効果により利息が利息を生むため、毎年の資産は年数を重ねるごとに大きくなりました。

通常、保有資産を売却したときは利益の176万円に約20%の税金が課されますが、NISAの税制優遇措置により176万円はそのまま手元に残ります。

この例では、長期投資での複利効果と税制優遇措置により、NISAでの資産増加が実現できることがわかります。

NISAで資産が減った例

例:100万円を投資して1年間運用した場合

1年後に市場が20%下落した場合、資産価値は80万円になります。売却をした場合、20万円の損失です。

短期投資では市場の動向を正確に見極めるのが難しいため、市場が大幅に上昇することもあれば逆に下落することもあります。

長期保有の場合、複利効果により資産が増える可能性がありますが、短期では複利効果は小さくなります。また、損失が発生した場合には税金が課されないため、NISAの税制優遇措置は適用されません。

この例では、短期投資では損失のリスクが高くなることがわかります。

まとめ

今回はNISA制度の仕組み、メリット・デメリット、NISAの始め方や運用の具体例について解説しました。

NISAはお金が増える可能性も減る可能性もあるため、運用方法次第では元本割れを起こしてしまうリスクもあります。

NISAのメリットを最大限に享受するためには、リスク分散し、長期にて計画的に投資することが重要でしょう。

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